目標の達成率をぐっと高めるために考えておくべきこと

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目標達成の理論についてはいろいろ書いてきました。

いろいろな目標設定の方法論のなかで、目標自体の設定ではなく、目標と合わせて考えておくといいものがあるというものがあります。

いわゆる目標達成のための話とはちょっと毛色が違うですが、非常に面白いので説明していきます。

うまく行かなかった時のことを想定しておく

目標の達成率を高めるためには、うまくいかなかった時のことを想定しておくとよいそうです。

例えば、ジムに通うという目標を立てたとしても、「今週は残業が多かったから」と断念してしまう。

そこで「残業が多かった場合は、会社近くの宿泊可能なジムに通う」(ブラック臭いけど)というように事前に想定して、対応策を準備しておくわけです。

うまくいかない時のことを想定する具体的な実践方法

If-Thenで考える

うまくいかなかった時のことを考えるという方法をシンプルに実践する方法が「If-Then」という思考です。

事前に「もしも(If)○○になったとき(Then)は□□する」と考えておくわけです。

非常にシンプルですが、非常に効果があるとのこと。

ニューヨーク大学の心理学者、ピーター・ゴルヴィッツァーとヴェロニカ・ブランドスタッターの研究によれば、たとえば、目標を達成するための行動をいつ、どこで、どのように取るなど、ざっくりと計画しているだけで、学生たちが目標を実現できる確立が四〇%上がったという。

エリック・パーカー(2017)『残酷すぎる成功法則』飛鳥新社(p.160)

これは「うまくいかなかったときにこうする」という使い方だけでなく、目標の達成のために「水曜日のときはランニングをする」といったような使い方もします。

WOOP

ポジティブ心理学について研究している、こちらもニューヨーク大学のガブリエル・エッティンゲン教授が「WOOP」という目標達成のための方法論を提案しています。

WOOPは下記の頭文字をとったもの。

  • W:願い(Wish)
  • O:成果(Outcome)
  • O:障害(Obstacle)
  • P:計画(Plan)

これの「障害(Obstacle)」にあたる部分がうまくいかない時のことを想定しておく部分になります。

願いで自分の夢やなりたい姿をイメージし(願い)、その願いに関する望む成果を書く(成果)、そして目標を達成するにあたって障害になるものを列挙していきます。以上を踏まえて、最後には計画を立てると。

例えば、「ブログの記事を週に3つ書く」という成果に対する障害と障害に対する計画として、下記のようなものを考えました。

  • 残業続きで睡眠不足だから、疲れで土日に活動できない→平日はお金払ってでも会社の近くに泊まればいい(やっぱりブラック臭い)
  • 週に3つの記事を書こうにもネタがないよ→そうしたら記事を書く時間を削ってもいいから、新しい本を買って読もう
  • 記事を書くモチベーションがない→書き上げなくてもいいから、記事を書く画面を開いてみる

原田メソッド

学校教育の場で大きな成果をあげた原田隆史氏の成功するための方法論に「原田メソッド」というものがあります。

原田メソッドでは、うまくいかなかった時のことの想定について、

  • 心・メンタル
  • 技・スキル
  • 体・健康
  • 生活

4つの項目で考えるべきだと主張しています。

人間を分析する観点は、「心、技、体、生活、その他」の5項目に集約できるのです。スポーツで大事なことは、「心・技・体」と言われます。中でも一流選手ほど「心」を重視していることは前にも説明しました。さらに、一流選手と呼ばれる人ほど、節制し無駄のない生活を送っています。そして、それ以外の部分。「成功のプロ」は「心、技、体、生活、その他」にわたって質の高い生き方をしているわけです。

原田隆史(2005)『成功の教科書 熱血! 原田塾のすべて』小学館 (Kindleの位置No.834-838)

ちなみに上記のような少し古い原田氏の本ですと、「その他」という項目もあります。しかし、「その他」という分類は、コンサルタントの世界では思考停止を示すものです。

そもそも「その他」と言われて、他のものほど効果的な想定ができるとは思えません。

それに気づかれたのか、比較的新しい本(一流の達成力)を参照すると、今回紹介している4つになっております。なので、下記の引用とは異なりますが4つで十分かと。

これまでで一番具体的な方法論ですね。これを先程もあげた「ブログの記事を週に3つ書く」という目標で例をあげてみます。

  • 心・メンタル:記事を書くモチベーションが出ない→書き上げなくてもいいからブログの画面を開く。また少しでもいいから書き進める。
  • 技・スキル:記事のクオリティが低く、書き進めたり・公開することができない→記事をいくつも書きあげなければクオリティはあがらないということを意識し、まずは現状のまま作業を進める。
  • 体・健康:仕事が忙しく睡眠不足で頭が働かない→睡眠の質をあげる方法を調べる。記事のネタにもできる。寝具を買うのも手。
  • 生活:仕事が忙しく平日にアウトラインを書く時間がない→どうにか昼休みの時間を確保できないか考える。通勤・退勤の時間は使えるはずだから、スマホでも作業できる仕組みを整える。

ちなみにこの原田メソッドについて、いわゆる怪しい自己啓発ではなく、ちゃんとした科学的根拠がありそうだぞという記事を書いています。

「原田メソッド」の全体像・概要を知りたいのであれば、下記がおすすめ。

「〇〇のせいで上手くいかない」という言い訳について先回りしておくのが目的

目標を決めたのに達成できなかった時に「○○だったから」と言い訳をしてしまうのが人間です。

だから、先回りをしてこういう問題が起こった時はこうすると決めておくことで、その言い訳を使えなくするというのが本質なのかなと考えている次第。

本当は「こういう問題が起きたらこうする」と書けるなら、その問題が起きた時にその対処をすればいいんでしょうけど、実際には思い浮かんでもやらない。だってめんどくさいから。

しかも、「問題が起きた」というのは、目標達成のための行動をしないための便利な言い訳にもできてしまうわけです。

それを未然に防ぐのが、事前にうまくいかない時のことを想定しておくことの意味なのかと推測しています。

目標達成のために考えることはたくさんあって大変なので、今回紹介したWOOPや原田メソッドを使ってみるといいでしょうね。すでに完成された方法論には、目標達成に必要な要素が多く含まれています。

「根拠(エビデンス)がある」という前提のもの目標達成やら、成功法則やら、いろいろと気になる方は下記がおすすめ。

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